ファッション通な紳士たちにファンの多い英国生まれのグレンロイヤルには、スタイリングの格を上げるレザーグッズが豊富に揃っています。
違いの分から大人から支持される一番の理由は、素材へのこだわりにありました。ブランドの代名詞となっているブライドルレザーは、馬具を起源に持つ丈夫なレザーで、使い込むほどに色の深みとツヤが増すのが特徴です。加工や縫製に技術を要し、時間もかかるため、このブライドルレザーを採用するブランドの数は年々激減しているそう。
そんな中、伝統的なモノづくりを継承するグレンロイヤルのバッグやウォレットは、愛情を注いで永く付き合える名品と言えるでしょう。英国王室御用達の証「ロイヤルワラント」の称号を持つメーカーの製品を手掛けたこともある同ブランドの職人たち。彼らが、手間ひまかけてつくるアイテムは、上質なレザー特有の無骨で堅牢な雰囲気がありながら、女性が持っても上品に見えるところもポイントです。ブランドのこだわりを紐解くほど、“良いもの”を知っている人が惚れ込む理由に納得する。
グレンロイヤルのメインマテリアルはブライドルレザーという堅牢性に優れた革。英国において、1,000年以上も前から馬具に使われていたという歴史ある素材です。原皮である牛皮はいくつもの工程を経て、ブライドルレザーへと生まれ変わるのですが、この加工作業にはかなりの時間と手間がかかります。植物由来の溶液に原皮を漬け込む「ベジタブルタンニンなめし」という伝統的な製法を採用。植物から抽出したタンニンの渋み成分でなめし、丈夫で経年変化を楽しめるレザーに仕上げています。
さらに、タンニンを染み込ませる工程では「ピットなめし」を行っており、タンニン剤を入れた大きな槽に原皮を数ヵ月間漬け込むことで、より美しい経年変化につながるそう。現在の主流である金属溶剤を使った「クロムなめし」だと、ピットではなくドラムを使い数日でなめすことが出来るため、英国内においても「ベジタブルタン「ニンなめし」を行うタンナーは稀だとか。労力を惜しまずレザーづくりに妥協をしないこの姿勢が、信頼されるプロダクトを生み出しているのです。
金具にも馬具由来のパーツを多く使っているのがグレンロイヤルのこだわり。ブランドの最上位モデルであるビジネスバッグには、英国王室御用達の証を保有する工場で生産された真鍮パーツを施したり、トートバッグには英国産のアンティークブラスのパーツを採用したり、ファンの心をくすぐる素材使いがポイントです。ブライドルレザーと同じく丈夫なうえ、経年変化を楽しめるところも魅力的。
ハリがあって頑丈なブライドルレザーは、縫製や加工が難しいとされています。しかし、英国王室御用達の証の称号を持つメーカーのOEMを手掛けていた歴史もあるグレンロイヤルには、熟練の職人が揃い、彼らの高い技術によってハイクオリティな製品がつくられます。
硬いレザーに打ち込まれたステッチは、よく見るとわずかに傾いているのが特徴。これは特殊なミシンを用いた「ミの字ステッチ」と呼ばれる縫製で、直線的な縫い方と比べて糸の締まりがよくなり、ほつれにくくなるのだそう。
なめしたレザーに牛脂やミツロウを擦り込むことで、繊維の中まで油分が染み込み、引き締まった素材に仕上がります。油分の膜が表面を覆うため、一般的なレザーよりも撥水性が高くなり、耐久性もアップします。
持つ人の生活スタイルや取り扱い方によって、同じアイテムでも異なる表情に経年変化していくのが、ブライドルレザーの魅力です。グレンロイヤルの製品を愛用する方々は、どのようにブライドルレザーと出会い、どのように育てているのか聞いてみました。
色の濃淡やカードのアタリも“自分だけの味”としてラフに使う
学生時代、アルバイトをしていたアパレルショップの店長が、当時使っていたのがグレンロイヤルのマネークリップ。ジャケットの胸ポケットに入れてもかさばらない薄マチの形と、上質なレザーゆえのスマートな佇まいに憧れて、マネークリップ(中)の購入を決めたのだそう。「マネークリップ初心者も手を出しやすい、2つ折り財布のようなデザインも購入の決め手でしたね。あれから約1年が経ち、深みとツヤが出て濃淡のある色に変化しました。内ポケットにカードをたくさん入れていたため、アタリが濃く出たところにも愛着が湧いています」。
渡辺産業に入社後、小銭入れ付きのマネークリップ(左)を購入。9色のカラバリがある中で、坂本さんが選んだのは初代と同じオックスフォードタンでした。「初めて買ったマネークリップを5年ほ使い続けたところ、エイジングした風合いがすごく好みだったんです。選ぶ革の色やアイテム、さらには使い方によって、変化の仕方が全然違うのがブライドルレザーの醍醐味です。それを知った上同じ色を使ったら、次はどんなふうに経年変化をするのか比べてみたくて。結果、初代のマネークリップのほうが色の変化が強く、アタリも濃く出ましたね」。
その後もいくつか財布を買い足しているそう。中でも、最近の使用頻度が高いのはジップミニパース(右)だと言います。「キャッシュレス化に伴い財布をもっとコンパクトしようと思い、このL字ジップタイプを使い始めました。小銭をあま持ち歩かないので、家の鍵や定期をまとめて収納しても、僕の場合はこれひとつで事足りてとても便利です」。
基本的に、メンテナンスを行うのは3ヵ月に1度程度。触った時に革の表面が乾燥していると感じたら、専用のワックスでさっと手入れをするのだそう。「定期的に油分を加えることで表面の傷は目立ちにくくなりますが、そのぶん革が柔らかくなるスピードが早まります。ベジタブルタンニンなめしという製法で皮の繊維を凝縮したブライドルレザーは、タフな質感も魅力のひとつ。個人的には手入れをしすぎない方が良いと思って、ガシガシ使っています」。
新品の時と全く異なる表情は長年使い込んだ証です
BRITISHMADE新宿店の立ち上げメンバーとして入社した佐藤さん。新店舗の立ち上げの記念に購入したのが、このスモールパースでした。
「当時はバッグを持たずに外出することが多かったため、たくさん収容できて、かつポケットに入る大きさの財布を探していました。他のブランドでは見たことのない丸みを帯びたフォルムと、グレイッシュなパープルに惹かれて、オーベルジーン(イギリス英語で茄子を意味する)というカラーを購入。内側は3つのコンパートメントに分かれており、手前のポケットにはよく使うカード類、奥にはお札と保険証、スナップボタンで留められる中央のポケットには小銭を入れています。ごちゃつくことなく、整理しやすいところも、永年使い続けている理由です」。
左が、新品の状態のスモールパース。比べてみると、7年使用している佐藤さんの愛用品は赤みが強くなっています。「コロンとしたフォルムに惹かれて購入しましたが、現在のくたっとした感じも、永く愛用したことを実感できて好きです。実はBRITISHMADEのスタッフとして働いた後、現在のマーケティング部に所属するまで、約2年間イギリスで生活をしていました。イギリス滞在中も毎日持ち歩いていたので、当時の思い出も、エイジングの“味”とともにこのスモールパースに染み込んでいます」。
メンテナンスは、革の表面が乾燥していると感じた時だけ。グレンロイヤルで販売しているブライドルレザー専用のワックスをさっと塗り込むのだそう。「毎日持ち歩いているため、特別なことは何もしていません。強いて言うなら、ペットボトルの水滴がつかないように気をつけたり、大きめのバッグを持つ日は、他のものと擦れて傷がつかないように注意したり。簡単なことしかしていないです」。
佐藤さんが次に狙っているのは、スモールボストンバッグなんだとか。「最近は女性向けのデザインも多く、スモールボストンバッグは『スタイルのある自立した大人の女性』がコンセプトのコレクションのもの。革の照り具合や立体的なシルエットなど、どこをとっても上品で、今一番気になっています。ミルキー発色が目新しいトフィーブラウンとい色を検討中です」。
エイジングを経てさらに自分好みの深い緑に
革靴磨きの世界チャンピオンであるシューシャイナー・杉村さんが愛用しているのは、約4年前に定番色に加わったボトルグリーンのマネークリップ。「憧れだったマネークリップを購入するにあたり、大好きなグリーンを条件に探していました。グレンロイヤルで理想のひとつを見つけたのですが、当時このボトルグリーンは限定色ですぐに完売。止むを得ず、別のブランドのマネークリップを使っていました。その後、また縁があってグレンロイヤルの製品と出会います。靴磨きのワークショップのために訪れたBRITISHMADEの店頭で、一度は諦めたこの色がレギュラーカラーとして販売されていたんです。そんな運命的な巡り合わせから、4年前ついに購入することができました」。
皮革製品に造詣の深いプロにもなると、新品の状態を見ただけで、そのレザーがどんな経年変化をしていくのかがある程度想像できるのだそう。
「レザーアイテムにおいて、グリーンの顔料はほかの色よりも抜けやすい性質があります。永年使ったことで少し色が落ち着き、ますます自分好みの色に変わってきました。グレンロイヤルのプロダクトの好きなところは、シンプルで主張しすぎない脇役に徹したデザイン。持つ人のキャラクターを引き立てるような、ミニマルな雰囲気がいいんです」。
靴磨き職人という職業柄、こまめなケアを行っていると思いきや、このマネークリップに関しては特に手入れを行っていないと言うから驚き。
「手に持つ回数の多い財布は、生活をする中で手の油分が付着するため、あれこれケアをする必要はないと考えています。特にグレンロイヤルが使用しているブライドルレザーは、加工の段階でミツロウなどの油脂がたっぷりと擦り込まれているため、念入りにケアをしなくても永くきれいな状態をキープできますよ」。
1年使い込んだことでレザーの色にわずかな変化が
kazumiさんが愛用しているサッチェルバッグは、minaの誌面にも度々登場するファッション性の高い人気商品。「カジュアルからフェミニンまで、どんな服にも合わせやすくて重宝しています。最近、美術館巡りにハマっているのですが、度々チケットを失くしてしまう私にとって、マチ付きの外ポケットがとてもありがたい(笑)。革が丈夫なうえ、メインコンパートメントにもマチがしっかりあるため、荷物をたくさん入れられて、中身が整理しやすいところも嬉しいポイント!片手で開閉できるマグネット式のフラップベルトなので、出し入れも楽ちんです」。
使い始めて1年未満ということもあり、まだ本格的なケアには至っていないそう。「早く“自分だけの味”を出したいなと思うんです。最近レザーの色が深みを帯びてきたような気がして、これからどんなふうに変化していくか楽しみです!」。
潮風による経年変化を楽しんでいる最中です
男性誌のライターをしていた時に、仕事を通じてグレンロイヤルを知った仁田さん。「それから数年後、大人の女性のためにデザインをアップデートした「グレイスコレクション』が登場しました。伝統を守りながら、使う人のニーズに合わせて進化を止めないグレンロイヤルの姿勢に心を掴まれ、6年前にミディアムパースショルダーストラップを購入。実際に使ってみて感じたのは、堅牢な素材を使っているため傷がつきにくいこと。本当にタフなので、気負わず使えるところがありがたい!」。
3年前から、生活拠点を海の近くへと移した仁田さん。都内に住んでいた頃はこまめなケアをしていましたが、最近は雨や水に濡れたら拭く程度。潮風による経年変化を楽しんでいるところだと言います。「床に置かず、掛けて保管することで形が崩れないようにだけ、注意しています。質感はだんだんとなめらかに。シンプルなデザインなので素材の風合いが際立ち、より洗練された印象になってきました」。
素材や製造におけるこだわりを知り、愛用者の声を聞いたら、ますます気になるグレンロイヤルというブランド。名品揃いのラインナップの中で、まず最初にチェックすべきものとは?
シーンレスに使える、人気製品からはじめてみましょう。
2018年に登場して以来、どんな服にも合うと女性人気が高いのが、このサッチェルバッグ(9インチ)。
英国の通学バッグをルーツに持ち、クラシカルな雰囲気と高い機能性を備えているのが特徴です。名品と呼べるサッチェルバッグに焦点を当てながら、グレンロイヤルを語るうえで欠かせないこだわりのディテールについて掘り下げていきます。
サッチェルバッグについて
通学バッグとして誕生したサッチェルバッグは、オーセンティックな見た目から、昨今ではお洒落な女性からの支持も熱いアイテムです。中でも、グレンロイヤルの製品を推したい理由は、素材がブライドルレザーであること。ブライドルレザーとは、手綱やくつわをはじめとする馬具用につくられた革を指し、人馬の安全のために磨き抜かれた強靭さが持ち味です。
さらに、英国貴族にとって乗馬とは格式高い嗜みでもあったため、馬具は見た目も美しいものである必要がありました。だからこそ、馬具由来のブライドルレザーを用いたバッグは、光沢の美しさが段違いなのです。サッチェルバッグ特有の角ばったシルエットも相まって、ひとつ取り入れるだけで装いが締まり、きちんとした印象へと導いてくれます。
財布としても使える大容量のキーケース
3つのキーリング付きで、コンパクトながら複数の鍵をすっきりと収納できます。背面にはカードポケットが付いており、近場の買い物用や散歩時の財布として活用するのもおすすめ。
ベルト穴のデザインは馬具がイメージ
ティアドロップ型のベルト穴や、1から5までのナンバーの刻印など、馬具からインスパイアされた遊び心のあるデザインが魅力。使ううちにレザーとバックルにエイジングが現れ、重厚感が増します。
過不足のないデザインでギフトにも◎
薄手のブライドルレザーを採用した、シンプルで上品な2つ折りウォレット。3つのカードポケットに横マチ付きのコインポケット、2室のお札入れと、内装もとてもスタンダードで、使う人を選びません。
ON/OFFで使えるスマートな縦長トート
希少なブライドルレザーが1枚仕立てでバッグに使われるのは珍しいそう。A4サイズがすっぽり入り、床に置いたときに自立しやすい設計。シーンを選ばず重宝すること間違いなし。
ハリがあるから取り出しもラクラク
より女性の生活に寄り添うモデルを提案する「グレイスコレクション」からミニポーチが登場しました。マチが広くてたくさん収納できるため、細々したコスメ類をしまうのにぴったりです。
ミニバッグ派にもおすすめの超薄型
デニムの後ろポケットにしまえるサイズ感ながら、最大5cmにも開くマチ付きで、コインの出し入れもノンストレス。中に仕切りがあるので、カード類の整理もしやすいのが嬉しいところ。
ブランド発祥の地・スコットランド国民のアイデンティティでもある「谷・渓谷」を意味するGLENと、「王室」を意味するROYALを組み合わせたもの。時間をかけて良いものをつくり、継承するという文化が根付くスコットランド。そのお国柄を大切に、高品質かつ堅牢で、永く使えるモノづくりを目指すという想いが込められています。
丈夫で美しい光沢を放つのは、レザーに牛脂やミツロウを擦り込んで仕上げているから。その際に入りきらなかった油脂成分が表面に浮き出て固まったものをブルームと呼びます。手の体温や摩擦で自然に落ちて、上品なツヤへと変化しますが、気になる人は、購入時にブラッシングをしてブルームを落としてもらうことも可能。
ブライドルレザーにエンボス加工を施した素材のこと。湖面にさざ波が立つ様子からインスピレーションを得て、凹凸のある立体的な質感に仕上げています。繊細なニュアンスがあることで、より上品なイメージに。
レザーとステッチのカラーを選んで、自由に組み合わせられるパーソナルオーダーサービスもあり。オンライン上でオーダーできて、選んだ組み合わせが商品画像に反映されるため、仕上がりをイメージしやすいところも嬉しい。
財布なら、表面と中面のレザーを対照的な色にしたり、濃色のレザーに明るい色のステッチを選ぶなんてことも可能に。
好みにもよりますが、一般的に推奨されているお手入れの目安は月1回程度。しっとり感が弱まり、手触りがドライになったタイミングで、専用のワックスで油分を補うと◎。そうすることで、レザーの輝きが増します。
グレンロイヤルのオフィシャルサイトでは、美しい経年変化を楽しむために、最適なお手入れ方法を動画で紹介しています。きちんとメンテナンスをしたい派はぜひ参考に。
<右>ブラウンの馬毛と白馬の毛をブレンド。ブラシ(S)3,080円(M)4,180円、<左>ブライドルレザー製品の保革、保護、ツヤ出しのためにつくられた専用ワックス。ダビン 3,300円 / 以上GLENROYAL(BRITISH MADE銀座店)
レディースMe 編集部
「雑誌掲載歴・専門家の高評価・話題性の高さ」のある、確かなブランドだけを掲載しています。
ランキングは、当サイト内で実施したアンケートを集計し再掲載したものです。
【公式】ピンタレスト | X | フェイスブック | インスタ