今、日本のものづくりはその技術や繊細さにおいて世界から注目を浴びています。
もちろんドレスづくりについても例外ではありません。日本人のデザイナーや熟練の職人たちがつくるドレスは何が違うのか。6つの理由を解説しています。
日本人と欧米人には体型に差があるため、良いところを引き出し、気になるところをカバーするよう、デザインやパターンは日夜改良が加えられています。例えばバストラインを高く豊かに、ヒップラインをバッスルにしてボリュームを出し、その対比でウエストを細く見せるなどの視覚効果を取り入れる。布をバイアスに使うことでウエストを細く見せるなど、布の特性を考慮する。こうしたさまざまな工夫がなされています。
さらに、胸のわずかなカーブや、レースや刺しゅうをつける高さ、ウエストの絞り具合、袖丈やなど、ミリ単位の調整で見え方も変わるので、わずかなバランスも逃さないように立体で調整し、ドレスを完成させていくのもこだわりの表れです。
日本で人気のドレスはスカートやトレーンなどにボリュームのあるものが多く、重いんです。そのため、生地を何日も吊るして伸ばしてから裁断することで、完成後に生地が伸びてラインが崩れることを防ぎます。ドレスは1枚の生地でできているものばかりではなく、時には10枚以上もの生地を重ねることもそれだけの枚数を重ねて縫うのは並大抵ではなく、熟練の職人の技術が必要です。
布が重なってもごわつかず、ラインも崩れないように縫い代を処理するのも職人の技。蓄積された経験や生地の特性への知識、細やかな心配りなど、朝一夕にはいかない職人の力が日本のドレスの美しさを支えています。
厳選された上質素材を使うのはもちろんですが、その生地の特性をしっかりと把握し、ふさわしいカッティングや配置を施すことで、その素材の持つ美しさが最大限に発揮されます。例えば、ミカドシルクは織りに斜めの綾(あや)があり、光沢と陰影が生まれるため、裁断の方向によって輝きが異なってきます。
また日本人の持つ繊細な感性も、素材選びには重要。レースなどはその柄や透明感などによって見る人に与える印象が異なります。会場や花嫁の雰囲気を敏感に感じ取り、最適なものを選べるのも日本人のデザイナーならでは。
日本と海外では、習慣や立ち居振る舞いが違います。例えばお辞儀の仕方。日本人は前かがみになり、お辞儀の回数が多い。日本人と欧米人ではもともとの骨格が異なるうえ、日本では清楚な花嫁が好まれるのに対し、海外ではセクシーさも美しさの要素のひとつなので、ビスチェタイプのドレスは胸元の開きが広いです。
日本人が着ると式やパーティ中に胸元が気になってしまうことも。そうした点を配慮して、日本のウエディングドレスは胸元を高めの位置にデザインにしていることが多い。
ドレス選びでは、会場との相性も大きなポイント。例えば、自然光とライトなどの人工光のもとではきれいに見える素材が違うし、会場の広さによって映えるドレスのラインも異なってきます。
こうした基礎的な知識に加え、デザイナーの視点はさらに深いです。知らない会場があれば時間を見つけて見学し、細部までチェック。「あの会場の絨毯は毛足が長くヒールが沈むので、スカート丈は5cmくらい短くしておいた方がぴったりの長さになり、歩きやすい」「祭壇への階段は○段あるから、トレーンの長さはこのくらいがいちばんきれい」「ゲストからはこの角度で見られることが多い」など、美しく見えるポイントを考慮してデザインしてくれます。
日本人デザイナーの強みは、日本人をモデルに何度も試作を繰り返せること。新しいデザインや素材を組み込んだドレスは、立ち姿は美しくても、動いてみたら裾が丸まってしまうということもあります。
そうした状況を防ぐため、実際に平均的な身長や体格の日本人をモデルにして着て何度も歩いてもらいながら、動きの中の美しさをシビアな目でチェック。納得がいくまで何十回もの試作を繰り返します。
レディースMe 編集部
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